不思議迷宮録シレン

-絶望の谷-


「 す、すまねぇ・・・・!

 だんなァ・・・・!」

シレン・・・・

モンスターの大群を前にして 力わずか1・・・・!

絶体絶命の窮地・・・・!

手持ちの使えそうなアイテム・・・・

バクスイの巻物、かなしばりの杖、身がわりの杖、

一時しのぎの杖、場所替えの杖、ふきとばしの杖

パワーアップの巻物、そして虎の子の白紙の巻物・・・・

「 逃げましょうやダンナ・・・・!

 幸いモンスターどもはまだ寝たまま・・・・!

 14Fを抜ければ村だってある・・・・!」

( ぐっ・・・・こっちが全快ならモンスター狩り・・・・

  経験値とアイテム大量獲得の目もあったが・・・・

  今は駄目・・・・!戦闘は得策じゃない・・・・!)

がっ・・・・その時・・・・

遠方からの爆音・・・・!

眼前を飛び交う砲弾・・・・!

「 ぐっ・・・・どうして起きてる・・・・!?

 フロアにやみふくろうがいるのに・・・・!

 しかも1匹や2匹じゃない・・・・!」

「 出現優先順位だ・・・・多分・・・・!」
「 優先順位・・・・・!?」
「 モンスターの中には出現時に必ず寝てるヤツ、

 或いは必ず覚醒しているヤツがいる・・・・

 ボウヤー、オヤジ戦車系は言うまでもなく後者・・・・!」

「 元配置分・・・・つまりモンスターハウスとは別に発生している

 オヤジ戦車は交い潜れる・・・・やみふくろうの支配を・・・・!」

「 それじゃあダンナ・・・・!どうするんで・・・・?

  まさか戦車どもとまとにやりあうんですかい・・・・!

  奴ら相手に2人以上でかかるのは危険・・・・!」

「 ・・・・いや」
「 おそらく問題ない・・・・!

 むしろ絶妙・・・・ この2人って手数・・・・」

「 ・・・・え?」
「 ヤツらの行動ルーチンはかなり異質だ・・・・

 同行者・・・・時にはモンスターまで爆風に巻き込もうと

 形振りかまわず撃ってくる・・・・かなり大味に・・・・!」

俺たちはその裏を取りに行く・・・・!
「 う・・・・!この位置・・・・!」
優先して狙うのは砲弾の軌道上から

1マスずれて立ったダンナのほう・・・・!

目もくれない・・・・眼前の相手に・・・・!

「 今の奴にケチは眼中にない・・・・!

 いわばルーチン上の死角・・・・戦車封じだ・・・・!

 通常モンスターも確実に1匹ずつ倒していけば・・・・」

いける・・・・!

モンスター殲滅すること可能・・・・!

「 頼むぞケチ・・・・!

 お前だけだ・・・・ 今 頼れるのは・・・・!」

( そうだった・・・・ 今、ダンナは満身創痍・・・・! 

 満足に戦える状況じゃない・・・・!)

「 まかせてくだせぇ・・・・!

 ここはあっしが・・・・!」